科学を考える視点
色々な物事について、科学的か否かが議論されることがあります。
しかし、科学的とはどういうことかについては様々な視点があります。
ここでは、いくつか、科学を考える際に役に立つ考え方をお示ししたいと思います。
科学的に証明されていない事柄の取扱い
仮に科学的な証明ができるとした場合、
(1)科学的に「ある」と証明された事柄、
(2)科学的に「ない」と証明された事柄、
(3)科学的に「ある」とも「ない」とも証明されていない事柄、
に分けることができます。
問題になるのは、(3)についてどのように考えるか、です。
科学的に証明されていないのだから「ない」と考える人が、科学者には多いような気がします。
しかし、証明されていない以上、「ない」と考えるのは、過剰な科学への信頼だと思います。
証明されていないのですから、「ある」という考えも、「ない」という考えも尊重すべきです。
個人的には、「ある」か「ない」か証明できたら面白いだろうとワクワクします。
いい例えかは分かりませんが、地球以外に生物(宇宙人)がいるかについての議論を取り上げてみます。
宇宙人がいるということが証明されていないので、宇宙人はいないと主張する人が多く見られます。
しかし、存在が否定されていないのですから、いるかもしれないと考えるべきでしょう。
科学的な証明は変化する
これに関連して、一旦は証明されたかに思われたものが、科学技術の発展により否定されることもあります。
科学的真実は、あくまでその時点の科学においては、ということにすぎないのです。
顕微鏡が発明される前には、微生物を見ることができず、病気の原因についても誤った考えが支配していました。
それが、病気の原因となる微生物が発見されることにより、微生物が原因の病気があることが分かったのです。
現代を生きる私たちは、ついつい科学は十分に発展しており、すべてが分かっていると思っています。
しかし、実際には分かっていないことばかりです。
ニュートンが、自分の研究について、真理という大海を前に砂遊びをしているようなものだ、と語ったと聞いたことがあります。
現代の私たちも、そういう意味ではニュートンの時代と変わらないのです。
科学は発展途上と意識
科学的と言われると信じてしまいがちです。
しかし、科学は発展途上で、分かっていることはごく一部だと意識することも大切です。
そして、自分の頭で冷静に考えることはとても大切です。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。