アルコールでの手荒れ
アルコール消毒時の手荒れ確認
先日ある場所に行ったときに、入り口でアルコールでの手指消毒を求められました。
これまでは、手指所毒に協力を求められる内容ばかりだったのですが、そこでは、アルコールでの手荒れの有無を確認されました。
私はアルコールでの手荒れを意識したことはありませんので、手荒れはないと答えましたが、もしも手荒れがあると答えた場合には、アルコールを手にかけられることはなかったのではないでしょうか。
ここで考えてみたいのは、感染予防には役立っても、他の問題をもたらす場合があることです。
アルコールに弱い人もいる
分子生物学の実験では、微生物や動物細胞などを扱う前に70%エタノールを手にシュッシュとかけます。
これは、手に実験対象以外の微生物が付いていると、それが実験対象に混ざってしまい、実験が失敗するからです。
私はアルコールで手荒れをしませんでしたので、素手にアルコールをかけていましたが、手が荒れる人は、手袋をした上からアルコールをかけていました。
アルコールに弱い人もいますので、何でもかんでもアルコールをかければいいというものではないのです。
アルコールの危険性
アルコール消毒できるのは、人間の細胞を傷つけるから
アルコールによって新型コロナウイルスを不活化できるのは、ウイルスが細胞から出る時に人間など動物の細胞を取り込み、人間などの細胞がウイルスを覆っているからです。
言い換えますと、アルコールは、人間や動物の細胞を傷つけるので、新型コロナウイルスを不活化できるのです。
そこで、新型コロナウイルス感染予防とはいっても、過剰にアルコールに触れることは手指の皮膚を傷つけ、別の感染症にり患する可能性を高めることに、注意が必要です。
アルコールが付いた手で目に触れると危険
私は手にアルコールが付いても大丈夫ですが、うっかりアルコールの付いた手を目に持っていってしまうことには気を付けています。
目はアルコールに弱いため、アルコールの付いた手で目に触れることは避けねばなりません。
アルコールは揮発しますが、市販のアルコール消毒液にはアルコールと水以外の成分も含まれますので、どのくらいの速度で揮発するか分かりません。
そこで、私は、アルコールで手指消毒したら、できるだけ早くお手洗いなどで洗い流すようにしています。
15秒ほどでウイルスを不活化できるとされていますので、15秒を過ぎたならば洗い流してしまっても効果は変わらないはずです。
石鹸での手洗いでもアルコール消毒と同じ効果
アルコール消毒をしない場合、手指消毒はどうすればよいのかと思われる方もいるかもしれません。
石鹸は界面活性剤であり、ウイルスを覆う幕を破壊しますので、石鹸で手洗いすれば、ウイルスを除去できます。
また、水で手洗いするだけでも99%は除去できるということですので、水洗いするだけでも、感染しないウイルス量になるはずです。
一方で、一時流行った次亜塩素酸水は肌への影響が大きいため、使用をお勧めしません。
もしも、アルコールと思って次亜塩素酸水をシュッとしてしまった場合、塩素臭で気付きますので、私ならすぐに洗い流してしまいます。
医薬品は適切な使用量を守らないと危険
アルコールだけでなく、ほとんどの物には適切な使用量があります。
薬といっても、主作用と副作用があり、過剰な使用は副作用が強く出てしまうことがあります。
例えば、抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常細胞も傷つけます。
適切な投与により、がん細胞を死滅させることができ、正常細胞の傷害が少なければ、がんを治癒することができます。
しかし、正常細胞をひどく傷つける量の投与を行えば、がん細胞が死滅すると同時に、命をも失うことになってしまいます。
単に多ければよいというものでないことを意識すべきです。
アルコール消毒を求めすぎないことも大切
街中で求められるアルコール消毒も、アルコールに強いかを考えながら使用すべきです。
また、すべての人に一律にアルコール消毒を求めてもいけません。
そんなことを考えさせられる、街中の経験でした。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。