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大人になって覚えていないとしても、学校の勉強に意味はある
子どもの頃は、毎日のように学校に行き、学校が生活の中心でした。
そして、机に座って教科の勉強をしていました。
大人になってみて、子どものときに学校で習ったことを覚えているかというと、決してそんなことはありません。
しかし、勉強しておくことに意味はあると思うのです。
漢字や足し算・掛け算は日常生活でも使う
日常的に、学校で学んだ知識をそのまま生かすことはなかなかなく、簡単な算数や国語を使うくらいです。
買い物をするときに、合計金額を計算したり、消費税をかけたりする場合には、算数で学んだことを使っています。
また、文章を書く際に、漢字を書いたり、送り仮名を考えたりして、国語で習ったことを生かしています。
確かに、パソコンやスマホなどの電子機器を使えば、計算も漢字変換もしてくれますので、自分の頭で考えなければならないことは減ってきています。
しかし、会計を見たときに、おおよその計算ができると、会計の間違い(買った物が会計に反映されていない場合など)に気付けます。
また、漢字変換間違いを発見するには、漢字の知識も必要です。
化学反応や生物の分類の知識は考えるきっかけになる
算数や国語よりも使わないのは、理科や社会で学んだ知識ではないでしょうか。
理科で学んだような化学反応や、生物の分類などは、それを専門とする人以外が触れることは皆無だと思います。
確かにそのまま使うことはないかもしれませんが、少しの知識が役立つことはあります。
例えば、掃除用洗剤にはいろいろなものがありますが、2種類を混ぜると人体に有害な物質が生成されることがあります。
「混ぜるな危険」と言われたときに、酸や塩素について少しでも学んだことがあれば、調べてみる気になります。
また、家庭菜園で作物がうまく育たないときに、植物の成長に必要なものを知っていれば、改善の端緒になるかもしれません。
微生物には、ウイルスや細菌があることを知っていれば、除菌剤がウイルスに効果があるか考えるのではないでしょうか。
公民は実生活に直結するし、歴史は社会を俯瞰する材料となる
社会で学んだものは、内容によって実生活との関連に差があると思います。
公民や政治経済は、現代の社会システムに関するものであり、政治を扱うニュースなどを理解しやすくなります。
地理で習う世界の気候分布は、海外に旅行する際の服装選びに役立つかもしれません。
また、世界の自然や工芸品を知ると、興味があるものを発見できるかもしれません。
歴史では、縄文時代の生活様式や、鎌倉幕府の成立年などを学びます。
それを知らないからといって、実生活に影響することはないと思います。
しかし、今の社会は、歴史の積み重ねの結果ですから、どうして今のような社会になっているのかを理解でき、何か問題がある場合には、歴史からヒントを得られることもあります。
その際に、年号で出来事の順序を覚えておくと、俯瞰して歴史を見る助けになります。
英語ができるとコミュニケーションの幅が広がる
学校で習うものの中で、英語の重要性が高まっているかもしれません。
以前より訪日外国人の数は増えていますし、外国での生活経験を有する人も増えています。
片言の英語でもコミュニケーションは可能ですし、少し会話を交わすだけでも楽しくなります。
また、テレビ報道や仕事でも、外国語がそのまま使われることが増えてきており、単語を知っていると理解がしやすくなります。
外国語がそのまま使われる機会が増えてきた一因として、外国語のままで使わないと正しく理解ができなかったり、しっくり来ないことがあります。
例えば、科学用語に”ligand”という言葉がありますが、錯体化学では「配位子」として使われ、生物学では「リガンド」と言われます。
用語が日本に導入された歴史が関係してるのかもしれませんが、分野ごとの違いはなかなか面倒です。
さらに、一つでも外国語を学んでおくと、他の言語を学ぶ際の役に立ちます。
欧米の言葉には似た単語があるため、英語を知っているとドイツ語の意味が想像できたりします。
また、日本語は最後に動詞が来るのに対し、主語の後に動詞が来る言語にも戸惑わなくなります。
頭を使わないともったいない
個別の教科について述べてきましたが、一番大きいのは、記憶力の高さです。
学生の頃に学んだことは不思議とよく覚えているのに対し、大人になると記憶が難しくなる気がします。
若い時には、何でも頭に入ってしまいますので、興味のあることもないことも、覚えておくと役に立つことがあると思います。
一度でも触れたことがあると、将来学ぶことになったとしても、学ぶ抵抗は圧倒的に少なくなります。
また、勉強すると、頭を使うトレーニングになります。
刺激のない日々を送ると、頭の回転が遅くなったような気がしますが、きっと脳みそも使っていないと動きが鈍るのでしょう。
もちろん、趣味などに頭を使うことは有効ですが、勉強で使う脳は、趣味で使う脳とは違うようにも感じます。
いろいろなものに取り組み、多様に頭を使うことは、きっと意味があるのではないでしょうか。
お一人お一人がいろいろお考えをお持ちと思いますが、私は、せっかく学ぶ機会があるならば、学んでしまうのが得策だと思います。
もちろん、学校で学ぶような知識が最優先だとは思いませんし、好きなことに取り組むことも有意義です。
ただ、せっかく机に座って授業を聞くのであれば、せめてその時間だけでも、取り組んでみてはいかがでしょうか。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。