目次
複数項目の関係を意識
何かを判断する基準として、複数項目・要素が挙げられることがあります。
判断する際には、複数の項目・要素が、
・すべてを満たすことが必要なのか(∩(かつ)、and)、
・どれかを満たせばよいのか(∪(または)、or)、
を意識する必要があります。
数学の集合論や、論理学を勉強した時に、∩や∪の記号をご覧になった方も多いと思います。
また、複数の項目・要素に前後関係があり、
・満たされた場合には、続く要素の考慮する必要があるか、
・満たされない場合には、続く要素を考慮する必要があるか、
を意識する場合もあります。
∩(かつ)なのか、∪(または)なのか、や、前後関係を意識することが、普段の仕事や生活で役に立つのです。
感染経路と予防策の概要
新型コロナウイルスは、「飛沫感染」と「接触感染」が主な感染経路1と言われています。
また、「3密」空間での「空気感染」の可能性も指摘されています。
なお、厚生労働省は「3密」について、
(A)換気の悪い「密閉空間」、
(B)多数が集まる「密集場所」、
(C)間近で会話や発声をする「密接場面」、
の3条件がそろう場所がクラスター(集団)発生のリスクが高い!、としています。
新型コロナウイルス感染症拡大の予防策として、
(1)「マスクを着用する」こと、
(2)「手洗いをする」こと、
(3)「ソーシャル・ディスタンスを取る」こと、
が呼びかけられています。
これらの3要素に心掛けることはとても大切ですが、いつでもどこでも、すべてをしなければならないのかを、考えてみたいと思います。
なお、「マスクを着用する」ことについては、別稿で詳しく検討しておりますので、ご参照ください。
感染させられる可能性
「飛沫感染」しない
「飛沫感染」を防ぐには、
(1)「マスクを着用する」こと、
(3)「ソーシャル・ディスタンスを取る」こと、
が有効です。
「飛沫」とは、直径5μm2以上の液滴とされ、飛距離は1m以内とされています1。
したがって、「ソーシャル・ディスタンスを取る」、つまり1~2m離れたならば、「飛沫」は飛びませんので、マスクの着用は不要です。
一方で、「飛沫」が飛ぶ範囲(1~2m以内)では「マスクを着用する」ことが必要です。
つまり、距離に応じて考えればよいのです。
もっとも、大声で騒いでいる人がいる場合には、さらに離れることが必要な場合もあるでしょうし、誰も話していない場合には、隣に座る際にもマスクは不要です。
まとめますと、
1~2m未満の距離では、(1)「マスクを着用する」こと、
1~2m以上の距離では、(3)「ソーシャル・ディスタンスを取る」こと、
が感染対策になります。
距離で分けられますので、(1)と(3)は、どちらかを満たせばよい「または(or)」の関係であり、両方を同時に行う必要はありません。
「接触感染」しない
「接触感染」を防ぐには、
(1)「マスクを着用する」こと、
(2)「手洗いをする」こと、
が有効です。
「手洗いをする」目的は、ウイルスが付着している物に触れた手指からウイルスを取り除くことです。
「マスクを着用する」目的は、ウイルスが付着している物に触れた手指で、感染経路とされる鼻や口に触れないことです。
したがって、ウイルスが付着している物に触れた後すぐに「手洗いをする」ならば、ウイルスを取り除けますので、「マスクを着用する」ことは不要です。
まとめますと、
ウイルスが付いた手指で鼻や口に触れないために、(1)「マスクを着用する」こと、
ウイルスを手指から取り除くために、(2)「手洗いをする」こと、
が感染対策になります。
(1)と(2)は対策対象が異なりますので、基本的には、すべてを満たす必要がある「かつ(and)」の関係であり、両方を行う必要があります。
もっとも、前後関係がありますので、
(A)「手洗いをする」ことにより、手指に付着したウイルスを除去するならば、「マスクを着用する」ことは不要です。
また、(B)「マスクを着用する」ことにより、鼻や口にウイルスを付けないようにすれば、「手洗いをする」ことは不要です。
あるいは、(C)訓練をして、鼻や口に触れないようにすれば、「マスクを着用する」ことも「手洗いをする」ことも不要です。
なかなかまとめづらいのですが、方法は何であれ、手指に付いたウイルスを鼻や口につけない対策をとればよく、そのために必要に応じて、
(1)「マスクを着用する」こと、
(2)「手洗いをする」こと、
を行えばよいのです。
「3密」空間で「空気感染」しない
「3密」空間での「空気感染」を防ぐには、
(1’)不織布マスクなどの高機能「マスク」を正しく「着用する」こと、
「3密」にしないために(4)「会話や発声をしない」こと、
が有効です。
一口にマスクといってもさまざまであり、「マスクを着用する」ことが対策になるとは限りません。
不織布マスクなどの高機能マスクを正しく着用するならば「マスクを着用する」ことに意味はありますが、それ以外のマスク使用はあまり意味がありません。
「会話や発声」がなければ「3密」にはなりませんので、3つの対策には含まれませんが、「3密」にしないために「会話や発声をしない」こと、が有効です。
まとめますと、
「3密」空間では、(1’)不織布マスクなどの高機能「マスク」を正しく「着用する」こと、
「3密」空間にしないために、(4)「会話や発声をしない」こと、
が感染対策になります。
「3密」空間と、非「3密」空間に分けられますので、(1’)と(4)は、どちらかを満たせばよい「または(or)」の関係であり、両方を同時に行う必要はありません。
感染させる可能性
「飛沫感染」させない
「飛沫感染」を防ぐには、「感染させられる可能性」と同様に、
(1)「マスクを着用する」こと、
(3)「ソーシャル・ディスタンスを取る」こと、
が有効です。
まとめますと、
1~2m未満の距離では、(1)「マスクを着用する」こと、
1~2m以上の距離では、(3)「ソーシャル・ディスタンスを取る」こと、
が感染対策になります。
距離で分けられますので、(1)と(3)は、どちらかを満たせばよい「または(or)」の関係であり、両方を同時に行う必要はありません。
「接触感染」させない
「接触感染」を防ぐ対策は、3つの対策にはありません。
(5)「必要以上に人や物に触れない」こと、
くらいではないかと思います。
電車で転ばないようにつり革につかまることは、安全のために必要ですからしなければなりません。
「3密」空間で「空気感染」させない
「3密」空間での「空気感染」を防ぐには、「感染させられる可能性」と同様に、
(1’)不織布マスクなどの高機能「マスク」を正しく「着用する」こと、
「3密」にしないために(4)「会話や発声をしない」こと、
が有効です。
まとめますと、
「3密」空間では、(1’)不織布マスクなどの高機能「マスク」を正しく「着用する」こと、
「3密」空間にしないために、(4)「会話や発声をしない」こと、
が感染対策になります。
「3密」空間と、非「3密」空間に分けられますので、(1’)と(4)は、どちらかを満たせばよい「または(or)」の関係であり、両方を同時に行う必要はありません。
対策のまとめ
「飛沫感染」を防ぐために、
1~2m未満の距離では、(1)「マスクを着用する」こと、または、
1~2m以上の距離では、(3)「ソーシャル・ディスタンスを取る」こと、
が感染対策になります。
「接触感染」しない対策は、
ウイルスを手指から取り除くこと、
ウイルスが付いた手指で鼻や口に触れないこと、であり、
(1)「マスクを着用する」こと、
(2)「手洗いをする」こと、
などの手段があります。
また、「接触感染」させないために、
(5)「必要以上に人や物に触れない」こと、
が感染対策になります。
「3密」空間での「空気感染」を防ぐには、
「3密」空間で、(1’)不織布マスクなどの高機能「マスク」を正しく「着用する」こと、または、
「3密」空間にしないために、(4)「会話や発声をしない」こと、
が感染対策になります。
何かをすれば、感染を100%防げる訳ではないことが厄介ですが、状況に応じた対策をすることにより、感染リスクはかなり減らせます。
習慣化の大切さ
挙げられている複数の項目・要素を整理し、関係を考えることにより、場面に応じて行動を選択できます。
慣れないと難しく、整理するには時間がかかりますが、このような思考習慣をつけると、行動の自由度が高くなります。
また、会話をするときにも、要素の関係をはっきりさせると、意図を正しく伝えることもできます。
時間のあるときに試してみることを、お勧めします。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。