電話からLINEなどのSNSへ
私が子どものころは、離れた相手とのやり取りは、電話が主流でした。
今では、電子メールやLINEなどのSNSが主流となっています。
確かに、何時でもすぐに連絡を取れる利点はあります。
しかし、何時でも連絡が取れるが故の欠点もあります。
即時到達が想定されるコミュニケ―ション
SNSの問題点はいろいろと議論されていますが、ここでは即時のコミュニケーションに絞って述べてみたいと思います。
スマホを持ち歩く人がほとんどという状況の中で、電子メールやLINEで送ったメッセージは、多くの場合、即時に相手に届くことが想定されます。
すると、送信者の立場から考えると、自分のメッセージを受信者はすぐに読んでくれていると思ってしまいます。
そして、返信が必要な内容を受信したならば、すぐに返信をくれると思ってしまいます。
すぐに返信が来ると思っていたのに、全然返信が来ないと、どうしたんだろうと不安になってしまいます。
受信者は、メールやLINEから離れて、何かに集中して取り組んでいるかもしれません。
また、受信者は、メールやLINEを読む時間がないのかもしれませんし、読む時間はあっても、返信する時間がないのかもしれません。
しかし、送信者は、すぐに返事が来ることを期待し、返事が来ないとイライラしてしまうのです。
電子メールが、即時対応を求められるツールに
電子メールが普及し始めたころ、電話が相手の都合に関係なくコミュニケーションするツールであるのに対し、電子メールは相手の都合がよい時に読んでもらえる利点があると言われました。
しかし、現在では、電子メールも相手の都合を無視したコミュニケーション・ツールになっていると思います。
確かに、すぐに返信をもらえるのはありがたいことです。
しかし、すぐに返信をするのが当たり前になってしまうと、楽しいはずのやり取りが息苦しいものになってしまいます。
クリエイティブな作業時には、電子メールを見ない
私は、集中して作成しなければならない資料がある場合など、クリエイティブな作業をするときには、電子メールを見ないようにしています。
仕事の内容にもよりますが、じっくり考えなければいけない仕事の場合、頻繁に中断されると考えがまとまらなくなってしまいます。
そこで、クリエイティブな作業の時には、電子メールのやり取りを後回しにしているのです。
時には、催促されることもありますが、相手によっては、返信できない理由を説明しています。
多くの人は、こちらがいろいろな仕事をしていることを想像してくれますので、納得してもらえます。
しかし、今では、多くの時間を電子メールに割いている人もいますので、理解が得られない場合もあります。
場合に応じてですが、こちらの状況を伝えても理解してもらえない場合には、集中が必要ない仕事の場合には早めに返信することにして、集中が必要な仕事の場合には、お詫びを入れて返信するなどの工夫も必要になります。
すぐに返信しない機会を作ると楽になる
以前の私の経験ですが、すぐに返信しないことに感謝されたことがあります。
その方は、送信したメールへの返信がすぐに来てしまい、自分もすぐに返信しなければならないことに悩んでいたのです。
私は、急ぎではないものは、1日くらい時間をおいてから返信するようにしていました。
そうすれば、相手も慌てて返信しなくて済むからです。
きっと、私の知人のように、すぐにメールを返信することに疲れている人も多いのではないでしょうか。
なかなか勇気がいることですが、急ぎではない電子メールには時間をおいて返信すると、双方とも楽になると思うのです。
最初は勇気がいりますが、慣れてくると快適になりますので、個人的にはお勧めです。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。