子ども時代に「自信」を失わないようにする ~何か得意なものを見つける~
子ども時代に大切なのは、「自信」を失わないことだと思います。
そして、子ども時代には、いろいろな自信を持つ機会があると思うのです。
学校の勉強でも、習い始めは簡単な問題が多く、100点を取れる機会も多くあります。
小学校に入学した頃の、平仮名や簡単な漢字の書き取り、算数の足し算や引き算のテストでは、100点に近い点数が取れることも多いと思います。
中学校に入学後、初めて英語を学びましたが、最初の授業で習った “This is a pen.” が次の小テストで出題され、100点を取れたのはいい思い出です。
初めて学ぶ英語の不安が、小さくなったことを覚えています。
学年が進むと、全部の科目が得意ということはなくなってきましたが、理科は誰々君が得意、社会なら誰々さん!、というように、科目ごとに得意な人が出てきました。
また、スポーツでも、走るのが早い、野球がうまい、サッカーが得意、バスケットボールで目立つ、など、一人ひとりが得意なもの、自信を持てる種目を見つけることができました。
芸術の世界でも、美術で絵がうまい、音楽で歌がうまい、トランペットが吹ける、など、それぞれの才能に気付くこともできました。
「井の中の蛙」として、自信を持つことも大切
私自身が、地方の小さな学校出身であることも理由ですが、少人数の学校生活で「井の中の蛙」になれたのはとてもよかったと思います。
たとえ、世界レベルや日本レベルでは、大したことがなかったとしても、田舎の少人数社会では1番になれ、自信を持てるからです。
最初から高いレベルとばかり比べてしまうと自信を失い、元気がなくなってしまいますが、狭いレベルしか見なければ、1番になり自信が持てるのです。
もちろん、長い人生を考えたならば、学校の勉強ができたかどうかは、さほど重要なことではありません。
しかし、子どもの頃に「重要と思われている尺度」において、優れた成績を収めることは、自信を得るきっかけにはなります。
子どもの頃に「重要と思われている尺度」は、勉強やスポーツであり、点数やタイムなどの分かりやすい数値基準で比較されます。
そして、多くの場合、勉強やスポーツの結果だけに注力していればを、学生生活を送ることができます。
大人になると広い世界を相手にしなければならず、客観的な数値など分かりやすい基準がなくなるため、自信を持つことが難しくなってきます。
分野や会社が違えば、営業売上の価値も異なりますし、発明の価値も比較困難です。
言い換えますと、子どもの時をのがすと、なかなか自信を持つ機会がないのです。
自分を壊すほどやる必要はない
ただ、少し気を付けたいことがあります。
いくら自信を持つことが大切だからといって、自分を壊してしまうほどにやる必要はないと思うのです。
私は地方で学生生活を送ってこともあり、学校の授業を聞いて宿題をやっているだけで、そこそこの点数は取れていました。
大学へ入り都会へ出てくる頃になると、都会では中学受験があり、難しい問題に小学生の頃から取り組んでいたことを知りました。
もしも、私が小学生の頃から塾通いをし、好きでもない勉強を無理やりさせられていたならば、勉強が嫌になり、場合によっては心を病んでいたのではないかと思います。
逆説的かもしれませんが、勉強を無理にしなかったからこそ、今でも学ぶことが好きなのだと考えています。
もちろん、塾通いをして学ぶことが得意な人もいるでしょうから、人それぞれであることを否定するものではありません。
これは、スポーツなどでも同じではないかと思います。
楽しくてやっているうちはよいのでしょうが、無理やりやらされるようになると、本人にとってマイナスとなってしまうこともあるのではないでしょうか。
大人になると、子ども時代の成績は重要でなくなり、小さなことにこだわっていたのだな、と分かります。
しかし、当事者である子ども時代にはなかなか気付けません。
やりすぎかどうかは程度の問題でもあり、子どもが判断するのは難しく、周りの大人が子どもの様子を気にかけ、注意しながら見守る必要があります。
1番を目指さないことも重要
さらに、どんなに頑張っても1番になれないこともあります。
これは、小さなグループの中でも十分に起こります。
どれだけ好きでも不得意なこともあれば、どんなに嫌いでも得意なこともあるのです。
うまく行かないときには、必要以上にそれにこだわるとなく、別の道を考えてみることも時には必要です。
1番を目指さずに自分基準で楽しむというように、方向転換することも大切でしょう。
つ分かりやすい勉強やスポーツにばかり意識が向いてしまいますが、それだけがすべてではありません。
自分が好きなことを突き詰めることにはエネルギーが必要ですが、追求することにより自信も得られます。
勉強やスポーツに取り組むことも素晴らしいですが、自分の好きなことを見つけることも同様に素晴らしいことです。
自信があると、生きる元気が湧いてくる
大人になってもそうですが、「何か」で「自信」を持てると、生きる元気が湧いてきます。
大人になるにつれ、価値基準を自ら構築しなければならなくなり、子ども時代よりも自信を持ちづらくなります。
一つの考え方としては、他人と比べるのではなく、自分自身の存在を見つめてみることも必要です。
一人ひとりが、比較不能なかけがえのない存在であることに気付くことも、生きる糧になります。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。