日常のちょっとした疑問を調べてみよう
テレビ報道を見ていたり、友人と会話をしていたりすると、知らないことが話題に上ることがあります。
また、知っている内容でも、知らない言葉が出てくることもあります。
その話題や言葉を知らなくても生活に影響はありませんので、忙しい日々の中、そのままやり過ごしてしまうことがほとんどです。
しかし、話題や言葉が心にかかっていたり、興味が湧いたりするならば、時間があるときに、調べてみてはいかがでしょうか。
新型コロナウイルス関連でも多くの疑問
例えば、今感染が拡大している新型コロナウイルスに関してもいろいろな疑問が湧いてくると思います。
・コロナ「ウイルス」っていうけど、「ウイルス」と「細菌」って同じものなの?
・コロナウイルスの遺伝子は「RNA1」だというけど、「RNA」って何?
・人間の遺伝子は「DNA2」だと習ったけど、遺伝子はどんな生物でも同じではないの?
・ウイルスの「感染」と「発症」って同じことなの?
・「PCR」という検査が行われているけど、どういう検査なの?
・「PCR」は、「DNA」を増幅させる方法らしいけど、遺伝子が「RNA」である新型コロナウイルスにも使えるのなぜ?
など、調べれば調べるほど疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。
いくつかの用語を調べてみるだけでも、表面的にとらえていた新型コロナウイルス感染症拡大を、より理解できます。
そして、自分の頭で考えて「正しく怖がる」ことができるようになり、扇情的な言葉に惑わされにくくなります。
複数の情報源にあたる
インターネット検索や読書
調べる方法には、インターネット検索したり、図書館の本を読んだりすることがあります。
答えが1つになる可能性の高いこと(事件の日付や言葉の定義など)は、1つ情報が得られたら、調査は終えられます。
しかし、多様な見方が可能な事柄も多く、複数の情報にあたることは有効です。
読んではみたもののよく分からないこともあるかもしれません。
よく分からない原因には、説明の上手下手だけでなく、文章が自分に合うか合わないかという問題もあります。
同じ内容でも、違う表現がされていると、何となく分かってくることもあるため、いくつかの資料を読んでみることは大切です
また、読み手側の知識が不足している場合もあります。
説明が、一定の知識を有してる人を対象としていることも多いからです。
初心者向けの入門書で、基本的な知識を学んでから読み直すことも有効ですし、分からなくても読み進め、後の部分で答えが分かることも採りえる手段です。
質問を明確化して教えてもらう
どうしても分からない場合には、先生や専門知識を有する人に質問することが有効です。
少し気を付けたいことは、質問内容を正確に伝えるようにすることです。
何を質問しているかがしっかり伝わらなければ、どんなに詳しい先生でも正確に答えることはできません。
また、調査した資料を持っていくと、分からない点が明確になり、求める答えが得られやすくなります。
情報源により内容が異なる場合には注意
科学的知見は、新しい情報を信じる
情報源によって説明が違うことがあります。
科学的知見については、過去の知見が変更されることがよくあります。
新たな技術が開発され、より精緻な測定が可能になり、見えなかったものが見えるようになることもあります。
測定法の問題点が明らかになり、過去の知見に疑いが持たれることもあります。
そこで、科学的知見に関しては、基本的に新しい情報を信じればよいでしょう。
もっとも、今では誤りだとされた過去の知見も、一概に否定してはいけません。
発表時点で可能な実験や考察は行っているからです。
科学は積み重ねですから、過去の知見を知ることは、研究のアイデアを生むきっかけになるかもしれません。
たとえ現時点では正しいとされていることも、将来的に否定されることも十分にあるのです。
科学的な真実は不変だと思われているようですが、いつでも変わりえるのです。
時事的な問題は、思考を学ぶ
一方で、時事的な問題については、さらなる注意が必要です。
初めて経験する事象など、知見があまりない場合には、正解が分からないことばかりです。
答えがない場合、正解を探し求めるよりも、意見の考慮要素や思考プロセスを学ぶ方が大切です。
結論が異なる場合には、
(1)前提としているケースが違う場合、
(2)前提としているケースは同じなのに、思考過程や価値評価が違う場合、
などがあります。
ついつい結論を求めがちですが、どうして結論が異なるのか自分で考えてみると、より深く理解できます。
情報を集め考える際には、意見の多数少数は重視すべきではありません。
視聴者の多いテレビ報道などがあった場合には、一方の意見が多数になるでしょう。
多数派の情報がインターネット上にあふれていても、情報源は1つということもあります。
疑問を持ち続けることも有効
一方で、身近に答えを教えてくれる人がいないかもしれません。
私も、答えをすぐに得られない経験をしたことがありますが、しばらく疑問として持ち続けることにしました。
そして、高校や大学に進学した後に、答えにたどりつきました。
疑問を持った時に解決することも大切ですが、疑問を持ち続けた後に解決することも意味があります。
答えは同じであったとしても、印象度合いが異なり、深く理解できると思うからです。
すぐに解決できなかったとしても焦らず、時が来るのを待つ余裕も必要です。
一度でも学んでおくと引っ掛かりができる
初めて学ぶときには、分からないことも多く大変です。
しかし、少しでも学んでおくと、知識の引っ掛かりがありますので、次回は圧倒的に楽に学べると思います。
ちょっとした疑問を少し調べてみることも、有意義な時間の使い方だと思います。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。