インターネット検索で手軽に答えが分かる時代
何か分からないことがあると、インターネット検索ですぐに答えが見つけられる、便利な時代になりました。
検索が楽にできるようになるとともに、分からないことがあることが気持ち悪く、何でも調べようとすることが増えてきたように感じます。
しかし、すぐに答えを求めるのではなく、ちょっと余裕を持って考えることも大切ではないでしょうか。
一義的な答えがないことも多い
確かに、単純な知識については、インターネットで答えを得ればよいと思います。
しかし、社会は複雑であり、一義的に答えが決まるものばかりではありません。
学校で習った知識が古くなり上書きされることもありますし、新型コロナウイルスのような、これまでの知見だけでは対処できない新たな事象も生まれます。
したがって、質問に対する直接的な答えが得られず、多種多様に考えられることもある訳です。
答えが一義的でない場合には、耳障りがよく、一見正しそうなことが書いてあったとしても、それが本当なのか自分の頭で考えてみることが大切だと思うのです。
また、答えが分からない場合に、自分独自の思考を試みることも有益です。
最終的に、同じ、または正反対の答えに行き着く人がいても問題はありません。
コロナウイルス感染者数増加に関する仮説
例えば、3月下旬にコロナウイルス感染者数が増加しました。
その原因ははっきりしませんでしたが、
・ヨーロッパからの帰国者に複数のコロナウイルス感染者がいたこと、
・コロナウイルスには、少なくとも2つの型があり、ヨーロッパで流行している型の感染力が強そうであること、
という他の報道情報を合わせて考えてみると、
・ヨーロッパから感染力の強い型が持ち込まれたことにより、感染者数が増加したのではないか、
という一つの仮説が成り立ちます。
この仮説が正しいかは分かりませんが、バラバラであった情報を自分で再構成してみることで、仮説を導くことができると思います。
自分が政策を決定するなど多くの人に影響を与える立場にいる場合には、より丁寧な検証が必要でしょう。
しかし、一個人が思考することは自由であり、必要以上に「正解」を求めなくてよいと思います。
疑問を持ちながら考えていると情報感度が高まる
分からないことを頭の中に飼っていると、関連するかもしれない情報への反応感度が高くなります。
これは、大きな社会事象に限られず、自分の身近な環境でもあるはずです。
インターネット検索を否定する訳では決してありませんが、一義的な答えがない事柄については、自分の頭で考えることも大切ではないでしょうか。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。