急に空いた時間
外出自粛が要請され、予定がキャンセルになった方も多いと思います。
私も予定の多くが中止になり、全く予期していなかった空白の時間を過ごすことになり、戸惑っております。
しかし、ちょっと頭を空っぽにし、思いを巡らせると、ゆったりした時間はとても恵まれた時間であると感じます。
「時は金なり」、「光陰矢のごとし」
小さい時から、「時は金なり」、「光陰矢のごとし」という言葉を通して、時間を大切にしなさい、と言われて育ってきました。
確かに、時間は大切ですが、いつしか何もしていない時間を作ってはいけないという強迫観念にかられてしまい、何かを忙しくしていないと落ち着きません。
そして、ちょっとした移動時間のすき間でも、仕事をしたり、本を読んだりしないと、時間を無駄にした、と後悔していました。
また、何かをしていないと、時代や他人から取り残される、という恐怖を感じたのかもしれません。
思えば、そういう日々では、気持ちが常に外に向いていたと思います。
世の中のすべてを知る必要はないし、知ることもできない
しかし、ぽっかりと空いた時間に自分と向き合うと、取り残されるという恐怖は杞憂であることに気付かされました。
どんなに頑張っても、世の中のすべてを知ることはできませんし、知る必要もないのです。
日々新たに生成する情報をフォローし続けることはそもそも不可能ですし、玉石混淆の情報をすべてを知ることの価値は必ずしも高くありません(玉を選別する際に石に触れることは避けられません。)。
自分を、時代や他人と比べなくても生きていけるのですから、あくせくするのは、現実には存在しない「他人の影」におびえていたにすぎないのです。
自分と向き合い、自分にとって大切なことに時間を使う
情報に追われない、と決めると、自分にとって大切だと思うことに時間を使えます。
すると、何もせずゆっくり過ごす時間が、愛おしい大切な時間に思えてきました。
また、ゆっくりと心の動きを観察するなど、自分と向き合う時間が増えました。
急に空いた時間が最初は恨めしくもありましたが、ゆったりした時間の大切さに気付かせてくれる貴重な機会になりました。
都内国立大学で、微生物や植物細胞を用いた研究を行った後、がん遺伝子やレトロウイルスの研究を行い、博士(医学)を取得しました。会社員生活を経た後、実定法から基礎法まで幅広く学び、法務博士(専門職)を取得しました。
大学院修了後には、戦略系経営コンサルティングファームに入社し、製造業やサービス業の、業務改革や新規事業開発に取り組みました。その後、創薬系バイオベンチャーで、がん治療に関する研究開発・事業開発を行いました。現在は、訴訟関連の法務サービスに従事しています。